2016-11-24

アメリカ大統領選挙、予測を誤ったのは誰か?

トランプ氏が大統領選に勝利した。大方の予想はクリントン氏であったためこの結果は大きな反響を呼んでいる。

長期の選挙期間、メディアは度々、世論調査に基づいて統計分析を駆使し勝者の予想、政治評論家をはじめ多くの専門家によって動向が解説されてきたが、今回のような例は非常に異例なことだ。1

ここでは両氏の政策や主張がそれぞれの支持率に影響を与えたかについては一切考慮しない。

誤りの代表的な原因は以下の3つに集約される。

  1. 標本抽出の誤り
  2. モデル化の誤り
  3. 分析と評価の誤り

1. 標本抽出の誤り

世論調査の結果が示される際にあわせて「アメリカの人口における人種の分布に大きな変化が見られる」というような解説が聞かれた(較対象の時期も、どのように変化してきているのかの解説もなかったが...)。

これが事実であれば、サンプリングされたデータはその母集団を反映するように配慮されていたのだろうか。

2. モデル化の誤り

私のまわりにいるモデル化の新しい手法を考えるような人たちは手法そのものが彼ら自身の数学的な美的感覚に合致しているかに執着するが、その手法を使用した結果、予測が当たるかどうかについては驚くほど無頓着だ。

一方、適していると考えられる手法を選択し現実の課題をモデル化しようとする人たちは予測が当たることを期待する。非常に危険なのは、彼ら自身の印象とモデル化した結果に乖離があると選択した手法や、手法そのものに誤りがあったのではないかと考えてしまうことだ。

つまり、彼らはメディア等が報じるイメージに常に晒されており、モデル化を行う際に少なからずこれらのバイアスがかかることを避けることが難しい。

3. 分析、評価の誤り

トランプ氏の勝利が明らかになるにつれクリントン氏の勝利を予測していた論者は次のようなことを話題にし始めた。

  1. 隠れトランプ票
  2. FBIの捜査

彼らの話を見聞きしていると非常にもっともらしい話だと思えてくる。彼らの話し方は上手く論理的に思えるが、選挙結果後24時間も経たないうちに出現したこれらの事が予測を誤らせた原因とはとても認められない。

統計学的に言ってこれらは検定を受けていない仮定にすぎず、一般的に言うなら気の利いた言い訳にすぎない。

予測を活用できなかったために何を失ったか?

誰が何を失った

さて、それでは今回のアメリカ大統領選の予測を誤ったために誰が何を失ったのだろうと言うのだろうか。

まず明らかなのは、ヒラリー・クリントン氏は大統領として活躍するつもりでいた次の4年間を失った。

クリントン氏の勝利を予想した識者たちは特に何も失いはしないだろう。彼らは弁が立ち、前述のような気の効いた言い訳を考える才能にも恵まれている。一方、統計学そのものは占いと同様に扱われ、統計学を専門とする学者は易者と同様とみなされるかも知れない。特に今回の大統領選挙のような劇的な印象を残す事件のあとは特にそうだろう。

あなたにクリントン氏と同じ徹を踏まぬよう、常に予測(統計分析)や数学があなたの味方になってくれることを願って。

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*1: 1948年のアメリカ大統領選挙 ハリー・トルーマンとトマス・デューイ 世論調査(ギャロップ、ローバー、クロスレー等)がトマス・デューイの勝利を予想し、シカゴ・トリビューン紙はトマス・デューイの勝利を報じた。

*2: CRM: 顧客関係管理 Customer Relationship Management の略